雨の廃墟散歩

ビニール傘片手に某廃墟を散歩。

露店が並ぶ賑やかなお花見も好きだけれど、

人の往来が途絶えた場所でひとり見る桜もまた良い。

業務用スーパーや衣料品店などが入っていたショッピングセンター。

隣にあったホームセンターは解体され更地に。


自分も何度かここへ買い物をしに来たことがある。

廃墟化してからまだ10年も経っていないのでは…

開かない自動ドアの内側にはショッピングカートが綺麗な状態で残されていた。


むき出しの鉄骨と流れる赤錆が痛々しい。

店の裏にぽつん。雨風に曝されながら佇む一台の陳列ワゴン。

白い肌は赤茶色の錆で覆われていた。


駐車場の投光灯。

人為的に地面に降ろされたのか、老朽のために落下したのか。

他の投光灯はポールの上に付いたままだったので後者だろうか。

自然に落下したとしたら、向かって右側の照明が先に地面に触れたのだろうか。

歪んだ枠と周囲に飛散したガラスが衝撃の強さを物語る。

向かって左側の照明。

微細にひび割れたガラスが氷のように静かに煌いていた。

割れた窓ガラスやビールケースなどもそのまま。


朽ちた鉄板を雨粒が叩く。

静かだ。

瓶の中に育つ緑。美しい。

どのようにしてこの状態になったのだろう。

雨の廃墟散歩でした。

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ご覧いただきありがとうございます。 これまでイラストの保管庫として利用させて頂きましたこちらの空間を、これからは日々を綴る場として活用したいと考えております。どうでもいい生存報告と小さな楽しみ。記録として思い出として、のんびりと小箱の中に集めていけたら嬉しいです。 降島ツカサ